個別機能訓練計画書の文例【車いす・移乗動作】|長期目標・短期目標・訓練内容・評価の記入例

車いすを使用して生活している利用者では、移乗、立ち上がり、立位保持、車いす操作などの能力が、トイレや入浴、食事などの日常生活に大きく影響します。個別機能訓練計画書では、「歩けるようになること」だけを目標にするのではなく、本人が現在の能力を活かして安全に移動し、自分で行える生活動作を維持する視点が重要です。この記事では、車いす・移乗動作に支援が必要な利用者を想定した長期目標・短期目標・訓練内容・評価の文例を紹介します。

車いす・移乗以外の疾患や生活課題に応じた文例は、個別機能訓練計画書の文例一覧から確認できます。

車いす・移乗動作の個別機能訓練計画書を作成するポイント

車いす利用者では、車いす操作の能力だけでなく、立ち上がり、立位保持、方向転換、着座など移乗に必要な一連の動作を確認します。また、本人がどの部分まで自分で行えているか、介助量がどの程度必要かを把握することが大切です。実際に使用しているベッド、椅子、トイレなどの生活環境も考慮し、本人が自分で行える動作を活かした訓練計画を作成します。

利用者像の例

  • ・要介護3
  • ・妻と二人暮らし
  • ・屋内移動は車いすを中心に行っている
  • ・平坦な場所では自分で車いすを操作できる
  • ・手すりを使用すれば立ち上がりが可能
  • ・立位保持は短時間可能
  • ・トイレへの移乗には見守りから一部介助が必要
  • ・本人は自分の力でトイレへ移り、できるだけ介助を減らしたいと希望している

本人の希望・生活上の課題

車いすでも自分で行きたい場所へ移動し、トイレへの乗り移りもできるだけ自分で続けたい。

下肢筋力と立位バランスの低下により移乗時の安定性が低下し、トイレや椅子への移乗に介助が必要となっている。

長期目標の文例

車いすを安全に操作し、自宅や施設内で必要な場所へ自分で移動できる。

手すりなどを活用して安全に移乗し、トイレ動作を可能な範囲で自分で行うことができる。

立ち上がりや立位保持能力を維持し、日常生活で必要な介助量の増加を予防できる。

短期目標の文例

手すりを使用し、安定して椅子や車いすから立ち上がることができる。

支持物を使用し、移乗に必要な立位姿勢を安全に保持できる。

見守りまたは一部介助で、車いすからトイレや椅子への移乗を行うことができる。

個別機能訓練の内容

椅子や車いすからの立ち上がり動作を反復し、下肢筋力と立ち上がり能力の維持・向上を図る。

手すりや支持物を使用した立位保持と重心移動練習を行い、移乗時の安定性向上を図る。

立位での足の踏み替えや方向転換を練習し、安全な移乗動作につなげる。

実際の車いすや椅子を使用して移乗練習を行い、車いすの位置やブレーキ操作を含めた一連の動作を確認する。

訓練実施時の留意点

車いすのブレーキ、フットサポート、配置を確認し、立ち上がりや移乗時の転倒・転落を予防する。

本人が自分で行える動作を過介助しないよう配慮し、ふらつきや膝折れなど安全上必要な部分のみ支援する。

評価・モニタリングの文例

手すりを使用した立ち上がりが安定し、車いすから椅子への移乗は見守り中心で行えるようになっている。トイレ動作につなげるため、移乗練習を継続する。

立位保持時間が延び、移乗時の方向転換も円滑になっている。引き続き足の踏み替えと立位バランス練習を行い、介助量の軽減を図る。

移乗時の介助量に大きな変化はみられないが、本人が一連の動作に積極的に参加できている。現在の能力を維持し、介助量の増加を予防するため訓練を継続する。

車いす・移乗動作の個別機能訓練で意識したいこと

車いすを使用している利用者では、歩行獲得だけを機能訓練の目標にしないことが重要です。車いすを自分で操作する、ベッドやトイレへ安全に移乗する、立位を保って衣類を操作するなど、車いす生活の中にも多くの自立につながる動作があります。本人がどこまで自分で行えるかを細かく評価し、実際の生活環境に近い条件で訓練を行うことで、日常生活に活かせる機能訓練につながります。

まとめ

車いす・移乗動作に支援が必要な利用者の個別機能訓練計画書では、車いす操作だけでなく、立ち上がり、立位保持、方向転換、移乗など一連の動作を具体的に把握することが重要です。本人が自分で行える動作を活かしながら、トイレや椅子への移乗など実際の生活場面につながる目標と訓練内容を設定することで、自立支援を意識した個別機能訓練計画書になります。

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