デイサービス、デイケア、介護施設、ご自宅で使える高齢者向け脳トレプリント5種類を無料で掲載しています。
今回の資料21〜25は、部屋の危険を探す、バスの時刻表を読む、冷蔵庫を確認する、洗濯物を分類する、外出の持ち物を考えるなど、生活の中で実際にありそうな場面を使った課題です。
単純な計算や漢字だけではなく、見て、必要な情報を探し、条件を確認し、生活場面に合わせて選び、選んだ理由を説明する過程を大切にしています。視覚探索、選択性注意、生活判断、時間処理、予定管理、情報整理、遂行機能、分類、ルール保持、ワーキングメモリ、条件保持、優先順位などを意識した内容です。
※本資料は認知症の治療、認知機能の改善・予防、転倒予防や生活機能改善の効果を保証するものではありません。日中活動、認知刺激、会話、意思表出、参加機会をつくるための資料として使用することを想定しています。
見て、探して、生活場面に合わせて考える脳トレ
日常生活では、目の前の情報をただ見るだけでなく、その中から必要なものを探し、複数の条件を確認して行動を決めています。例えば、部屋を歩く前に障害物へ気づく、予約時刻に間に合うバスを選ぶ、冷蔵庫にない食材だけを買い足すといった場面です。
今回のプリントは、正答数や速さだけを評価するためのものではありません。どこを見ていたか、どの情報を手がかりにしたか、本人がなぜその選択をしたかを確認しながら進めます。
写真やイラストも、紙面を華やかにする装飾ではなく、生活場面を理解し、課題へ参加しやすくする視覚的な手がかりとして使っています。一方で情報が多すぎると注意が分散する場合もあるため、課題の目的に合わせて視覚情報量を調整しています。
今回掲載する高齢者向け無料プリント5種類
21.部屋の中の危険を見つける
実際の住宅に近い室内写真を見ながら、転倒などにつながる可能性のある危険箇所を3つ探す課題です。写真には、床にこぼれた水、通路を横切る電気コード、歩行動線上に置かれた箱が含まれています。
主に意識する認知機能:視覚探索、選択性注意、生活判断、危険への気づき
これは単なる間違い探しではありません。「どこが危険か見つける」「なぜ危険なのか説明する」「どうすると安全になるか考える」という流れで、生活環境への気づきや安全確認について考えます。
写真を使った理由:イラスト化された単純な場面ではなく、家具や生活用品が置かれた実際の住宅環境に近い状況から、必要な情報を探せるようにするためです。写真の中には多くの情報があるため、どこへ注意を向けるかも課題の一部になります。
職員さんへのポイント:危険箇所を指差せたら、「なぜ危ないと思いましたか」「このままだと何が起こりそうですか」「どう片づけるとよいでしょう」と会話を広げます。本人の住環境を一方的に評価するのではなく、普段の安全確認方法や工夫も聞いてください。
難しい場合:写真の上半分・下半分など見る範囲を小さくする、通路だけを一緒に確認する、職員が写真を指でたどる方法があります。危険箇所を言葉で説明しにくい場合は、指差しでも構いません。
22.バスの時刻表から予定を考える
病院の予約時刻とバスの時刻表を見ながら、何時のバスに乗るか、予約時刻まで何分あるか、そのバスで間に合うか、予約時刻が変わった場合はどうするかを考える課題です。
主に意識する認知機能:時間処理、予定管理、逆算、遂行機能
時刻表の数字を読めるかだけではなく、目的の時間に合わせて行動を決める生活場面型の課題です。予約時刻、移動に必要な時間、到着後の余裕などを確認し、出発する時刻を考えます。
時刻表を使った理由:複数の時刻から必要な便を探し、目的に合う情報を選ぶ場面を分かりやすく示すためです。数字の一覧から、予約時刻と関係する箇所へ注意を向けます。
職員さんへのポイント:まず予約時刻を確認し、「何分前に着きたいですか」「そのためには何時着のバスがよいでしょう」と順番に考えます。普段は家族の送迎を利用している方でも、予定を立てる課題として参加できます。
難しい場合:予約時刻を先に囲む、「10分前は何時か」を一緒に考える、到着時刻の列だけを見る、選択肢を2つに減らす方法があります。時計や時刻の読み取りが難しい場合は、職員が読み上げても構いません。
23.冷蔵庫を見て買い足すものを考える
冷蔵庫にある食材を確認し、「豚肉とキャベツの炒め物」「豆腐と玉ねぎのみそ汁」を作るために足りない食材を考えます。冷蔵庫には卵、豆腐、キャベツ、玉ねぎ、牛乳、ヨーグルトがあり、お店の豚肉、にんじん、りんご、洗剤などから必要な物を選びます。
主に意識する認知機能:視覚認知、情報整理、計画、生活判断、生活計算
重要なのは、「冷蔵庫にある物」「献立に必要な物」「買い足す物」を照合することです。商品名や値段だけを見る買い物問題ではなく、現在の状況を確認し、不足している物を判断する生活場面型の課題です。
イラストを使った理由:冷蔵庫内の食材とお店の商品を見分け、二つの場所の情報を比較しやすくするためです。イラストだけで答えを決めず、献立に必要な材料の文字情報とも照合します。
職員さんへのポイント:必要な食材を選んだ後は、「この材料でほかに何を作れますか」「普段のみそ汁には何を入れていましたか」と本人の料理経験や食習慣へ会話を広げます。別の料理を考える問題は自由回答として扱い、一つの献立に限定しません。
難しい場合:まず冷蔵庫にある食材へ印をつける、献立を一品ずつ確認する、店の商品数を減らす方法があります。職員が材料名を読み上げ、同じ食材を指差して探してもらっても構いません。
24.洗濯物を分けて考える
複数の衣類やタオルを見ながら、「身につける物」「白い物」「二つの条件を両方満たす物」など、指定されたルールに従って分類する課題です。途中でルールが変わります。
主に意識する認知機能:分類、選択性注意、ルール保持、注意の切り替え
生活の中では、衣類を種類や色、洗い方などに応じて分ける場面があります。この課題では、一度覚えたルールをそのまま続けるのではなく、新しい条件を確認して注意を切り替えます。
衣類イラストを使った理由:衣類の種類や色を比較し、指定された条件に合うものを選びやすくするためです。ただし、色の見え方には個人差があり、視力や色覚、印刷状態の影響も受けます。
職員さんへのポイント:前のルールで選び続けた場合は、すぐに誤りとせず、「今の条件は何でしたか」と一緒に確認します。色の判別が難しい様子があれば、認知機能だけの問題と決めつけず、見え方や照明も確認してください。
難しい場合:物の数を減らす、条件を一つにする、色名を職員が読み上げる、一つずつ確認する方法があります。条件を書いた部分を見える位置に残し、選ぶたびに読み直しても構いません。
25.今日の予定に必要な持ち物を選ぶ
「午前は病院」「帰りに買い物」「午後から雨予報」という予定を確認し、傘、財布、診察券、買い物メモ、帽子、新聞、ティッシュ、パンなどから必要な持ち物を考える課題です。
主に意識する認知機能:ワーキングメモリ、条件保持、優先順位、遂行機能、生活判断
大切なのは、何が描かれているかを答えることではなく、今日の予定に対して、なぜその物が必要なのかを考えることです。病院、買い物、雨という複数の条件を保ちながら、持ち物を選びます。
持ち物イラストを使った理由:複数の品物を見比べ、予定と結びつけて選びやすくするためです。基本的には傘、財布、診察券、買い物メモが必要と考えやすい設定ですが、イラストは正解を一つに固定するためのものではありません。
職員さんへのポイント:ティッシュなど本人が追加で持ちたい物を選んだ場合は否定せず、「なぜ持っていきますか」と理由を聞いてください。普段の外出習慣、体調、本人なりの安心につながる物があることも考えられます。
難しい場合:予定を一つずつ確認する、持ち物を4〜5個に減らす、病院に必要な物から考える方法があります。職員が予定を読み上げ、該当する物を指差してもらっても構いません。
無料PDF
用途に合わせて、利用者用、職員向け解説・答え、両方をまとめた完全版を用意しています。いずれもA4で印刷して使えるPDFです。
利用者用プリント21〜25
A4・印刷用PDF。写真版の危険探し、バス時刻表、冷蔵庫、洗濯物の分類、外出の持ち物の5種類を収録しています。
職員向け解説・答え
A4・印刷用PDF。各課題の見方、答え、声かけ、難易度調整の考え方を職員向けにまとめています。
利用者用+職員向け完全版
A4・印刷用PDF。利用者用プリント21〜25と職員向け解説・答えを一つにまとめています。
写真・イラストは理解と参加を助けるために使っています
写真やイラストが多ければ、必ず取り組みやすいとは限りません。介護文例ナビでは、課題を華やかにする装飾ではなく、生活場面を理解し、参加しやすくする視覚的な手がかりとして使用しています。
危険探しでは、実際の住宅環境に近い写真から危険箇所を探せるようにしています。冷蔵庫、洗濯物、持ち物では、品物を認識して比較しやすくするためにイラストを使います。一方、必要以上に情報量を増やすと注意が分散することもあるため、課題目的に合わせて視覚情報量を調整しています。
難しすぎるときの調整方法
課題が難しいときは、できないと判断する前に、提示方法や支援量を調整します。
- 見る範囲を小さくする
- 1問ずつ提示する
- 選択肢を減らす
- 条件を1つにする
- 必要な情報に線を引く
- 職員が読み上げる
- 指で一緒に確認する
- 写真やイラストを指差して答える
- 最初の1問を一緒に行う
- 疲れたら休憩する
同じ方でも、体調、時間帯、周囲の音、座る位置によって取り組みやすさは変わります。難易度を下げることは、本人の力を低く見ることではありません。「できる問題を探す」のではなく「できる方法を探す」という視点を大切にしています。
見るだけで終わらせず、考えを言葉にする
今回の資料では、危険箇所を見つけて終わるのではなく、なぜ危険なのか、どうすると安全になるかを話します。持ち物も、選んだ品物の数ではなく、今日の予定になぜ必要なのかを説明します。
正解・不正解だけで終わらせず、本人の考えや経験を引き出すことが、介護現場で使う際の大切なポイントです。言葉で説明することが難しい場合は、指差し、うなずき、表情なども意思表出として受け止め、職員が言葉を補って確認します。
生活場面に近い脳トレを取り入れる理由
今回の課題には、住宅環境、公共交通、食事準備、洗濯、通院、買い物など、日常生活に関連する内容が含まれています。本人の生活歴や経験を手がかりに考えることで、馴染みのある話題から活動へ参加しやすくすることを目指しています。
ただし、これらの課題によって認知症の改善・予防、転倒予防、生活機能改善などの効果を断定するものではありません。本人が無理なく見て、考え、選び、話す機会として活用してください。
介護文例ナビの脳トレ資料について
介護文例ナビでは、高齢者を子ども扱いせず、大人が自然に取り組める落ち着いた資料を目指しています。子ども向け教材のような装飾にはせず、文字は大きく太く、十分な余白を取り、課題の邪魔にならない落ち着いた色を使います。
イラストは目的がある場合に使い、必要に応じて写真も使用します。学歴や計算能力だけに依存せず、読む、探す、選ぶ、指差す、話すなど、本人に合った方法へ調整できることも大切にしています。軽度から重度まで一律の課題を求めず、情報量、選択肢、職員の支援量を変えます。
職員にも課題の目的が分かり、単なる暇つぶしプリントにならないよう、介護・リハビリテーションの視点を取り入れています。利用者用プリントには認知症の病名を直接表示せず、一つの活動として自然に取り組めるようにしています。
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※本記事と掲載資料は、医師による診断・治療や、所属事業所で定められた評価を置き換えるものではありません。体調や疲労、視力・色覚、本人の希望に配慮し、無理のない範囲で使用してください。


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