ケアプラン文例【認知症・食事拒否】|食事量低下・食生活の乱れがある場合の第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、食事を勧めても「いらない」「もう食べた」と話したり、食卓についてもほとんど箸が進まなかったりすることがあります。食事量が減った場合も、単に「食事拒否」と捉えるのではなく、本人がなぜ食べたくないのか、その背景を丁寧に考えることが大切です。

ここでは、認知症により食事量の低下や食生活の乱れがみられる利用者を例に、本人の好みや生活習慣を大切にしながら、必要な栄養や水分摂取につなげる第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • 認知症があり「もう食べた」と話して食事を断ることがある
  • 食卓についても食事量が少ない
  • 一人では食事を始められないことがある
  • 甘い物や好きな物は食べる
  • 以前より食事内容が偏っている
  • 家族が食事を勧めると本人が嫌がることがある
  • 体重減少や脱水、低栄養が心配されている

担当ケースに近い部分を選び、本人の食事習慣、好み、身体状態、食事環境などに合わせて調整してください。

※文例はそのまま使用するのではなく、本人の食事量、体重変化、嚥下状態、疾患、服薬、医療職からの指示などに合わせて調整してください。

利用者像の例

  • 85歳・女性・要介護2
  • 長女夫婦と同居
  • アルツハイマー型認知症
  • 食事・排泄・屋内移動は概ね自立
  • 食事を出しても「さっき食べた」と話すことがある
  • 食卓についても自分から箸を持たないことが増えている
  • 昔から煮物や魚料理、果物を好んでいた
  • 本人の好きな物を少量出すと食べ始めることがある
  • 周囲が繰り返し食事を勧めると「いらない」と怒ることがある
  • 以前より体重が減少傾向にある
  • 通所介護週3回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|食べることを強く勧められたくない場合

食べたくないときに何度も食べろと言われるのは嫌だ。自分が食べたいものを、自分のペースで食べたい。

別の表現①|好きな食事を楽しみたい場合

昔から好きな煮物や魚、果物など、食べたいと思えるものを楽しみながら食べたい。

別の表現②|家族と食卓を囲みたい場合

一人で食べるより、家族や誰かと話しながらゆっくり食事をしたい。

家族の意向

おすすめ文例|食事量を確保したい場合

最近食べる量が減って体重も落ちてきているので心配している。無理に食べさせるのではなく、本人が食べやすい方法で必要な食事をとってほしい。

別の表現|声かけによる関係悪化を避けたい場合

食事を勧めるたびに本人が怒ることがあり、家族もどう声をかければよいか悩んでいる。本人が嫌な気持ちにならずに食事をとれる方法を教えてほしい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は認知症の影響により食事を済ませたと思い込むことや、食事を目の前にしても食べ始めるきっかけが分からない様子がみられ、以前より食事量が減少している。一方、本人が昔から好んでいた煮物や魚、果物などを用意した場合や、周囲と落ち着いて食卓を囲んだ際には自ら食べ始めることもある。繰り返し食事を促されることには強い抵抗を示しており、食べることを強制されていると感じることが食事拒否につながっている可能性がある。本人の食習慣や好み、食事を始めやすい環境を把握し、本人のペースを尊重しながら必要な食事や水分を摂取できるよう支援する必要がある。また、体重減少や体調変化についても継続して確認し、必要に応じて医療職等と連携する必要がある。

別の表現|食事環境を重視する場合

本人は食事そのものを常に拒否しているわけではなく、声かけの方法や食事内容、周囲の環境によって摂取状況に差がみられている。認知症により食事の時間であることや、目の前の食べ物をどのように食べ始めればよいか理解しにくい場面がある一方、本人の好物や馴染みのある食器、周囲と一緒に食べる環境では食事が進むこともある。食事量だけを評価するのではなく、本人が安心して食事に向かえる条件を整理し、本人らしい食生活を維持しながら健康状態を保てるよう支援する必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人の食事に対する好みや長年の食習慣を尊重し、無理に食事を勧めるのではなく、本人が食べたいと思える環境を整える。本人の好物や食べやすい量・形態を取り入れ、必要に応じて食事開始のきっかけとなる分かりやすい声かけを行う。家族・通所介護等で食事量、水分摂取量、体重、体調の変化を共有し、低栄養や脱水等が懸念される場合には主治医や栄養・医療関係職種と連携する。本人が食事の時間を負担に感じることなく、楽しみながら健康を維持できるよう支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の好みや食習慣を大切にし、食事を強制せず、本人が安心して食べ始められる環境や声かけを工夫する。食事・水分摂取状況や体重変化を関係者で共有し、必要に応じて医療職等と連携しながら健康状態の維持を図る。

第2表の文例

食事量が低下している場合も、「残さず食べる」「完食する」こと自体を目標にするのではなく、本人が無理なく食事を楽しみ、必要な栄養や水分をとりながら生活できることを目標として考えます。

課題① 自分のペースで食事を楽しみたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

無理に勧められることなく、自分のペースで好きな食事を楽しみたい。

ニーズの別表現|好みを重視する場合

昔から好きな料理や食べやすいものを楽しみながら、気持ちよく食事をしたい。

長期目標

本人の好みやペースが尊重された環境で、食事を楽しみながら必要な摂取量を確保できる。

短期目標

本人が好む料理や食べやすい食品を取り入れることで、自ら食事を始める機会を持つことができる。

サービス内容

本人の好きな食事や食べやすい量を確認し、食事を一方的に促さず、本人が食べ始められるよう分かりやすい声かけや環境調整を行う。

課題② 必要な食事と水分をとり、元気に過ごしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

食事や水分を無理なくとり、体力を落とさず元気に生活したい。

長期目標

食事・水分摂取量が保たれ、体重や体調を大きく崩すことなく生活を継続できる。

短期目標

本人が食べやすい食品や時間帯を活用し、一日の中で必要な食事や水分をとる機会を持つことができる。

サービス内容

食事量・水分量・体重・体調を継続して確認する。食事摂取が少ない場合は、本人が受け入れやすい食品や補食等を検討し、状態変化がみられた際は家族・ケアマネジャー・医療関係職種へ共有する。

課題③ 安心できる環境で落ち着いて食事をしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

落ち着いた場所で、誰かと一緒に安心して食事をしたい。

長期目標

本人が安心できる食事環境の中で、負担を感じることなく食事を継続できる。

短期目標

周囲と一緒に食卓を囲み、声かけを受けながら落ち着いて食事を始めることができる。

サービス内容

本人が落ち着いて食事できる席や環境を整え、必要に応じて職員や家族が一緒に食卓を囲む。食事開始が難しい場合には、食器や料理を分かりやすく提示し、一つずつ声をかける。

課題④ 家族と穏やかな関係を保ちながら食生活を続けたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

食事のことで家族と言い合いにならず、穏やかな気持ちで毎日を過ごしたい。

長期目標

本人の食事への思いが尊重され、家族も過度な負担を抱えず食生活を支えることができる。

短期目標

家族が無理に食事を勧める場面が減り、本人が食べやすい声かけや対応方法を共有できる。

サービス内容

本人が食べやすかった食事内容や声かけ、時間帯などを家族と通所介護等で共有する。家族には無理に完食を求めず、本人が受け入れやすい方法で食事を勧めるよう支援する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
無理に勧められず、自分のペースで好きな食事を楽しみたい。 本人の好みやペースが尊重された環境で、食事を楽しみながら必要な摂取量を確保できる。 好きな料理や食べやすい食品を取り入れ、自ら食事を始める機会を持てる。 本人の好みを確認し、無理に促さず食事を始めやすい環境を整える。
食事や水分を無理なくとり、体力を落とさず元気に生活したい。 食事・水分摂取が保たれ、体調を大きく崩さず生活を継続できる。 食べやすい食品や時間帯を活用し、必要な食事・水分をとれる。 摂取量・体重・体調を確認し、必要に応じて関係職種と情報共有する。
落ち着いた場所で、誰かと一緒に安心して食事をしたい。 安心できる環境で、負担を感じることなく食事を継続できる。 周囲と食卓を囲み、落ち着いて食事を始めることができる。 食事環境を整え、必要に応じて分かりやすい声かけを行う。
食事のことで家族と言い合いにならず、穏やかに過ごしたい。 家族も過度な負担を抱えず、本人の食生活を支えることができる。 無理に食事を勧める場面を減らし、対応方法を共有できる。 本人が食べやすい食事内容や声かけ方法を家族と支援者で共有する。

認知症・食事拒否のケアプランで意識したいポイント

「食べない理由」を一つに決めつけない

食事が進まない背景には、食事を済ませたと思っている、空腹を感じにくい、料理が本人の好みに合わない、食べ方が分からない、口腔内の不快感、体調不良などさまざまな可能性があります。食事量だけではなく、本人の表情や食事前後の様子も確認します。

完食を目標にしない

本人にとって大切なのは「全部食べること」ではなく、無理なく食事を楽しみながら健康を保つことです。少量でも本人が食べやすいものを複数回に分けるなど、本人の生活に合った方法を検討します。

食べられる条件を探す

好きな料理なら食べる、家族と一緒なら食べる、静かな場所だと食事が進むなど、本人が食べやすい条件がみつかることがあります。「食べなかった日」だけでなく「食べられた日」に何が違ったのかを確認します。

本人の生活歴を食事支援に活かす

長年食べてきた料理、出身地の食文化、食事時間、使用していた食器などが本人にとって食事の手がかりになる場合があります。本人の生活歴を知ることは、食事を楽しめる環境づくりにもつながります。

体重や体調の変化は関係職種で共有する

食事量の低下が続く場合は、体重、脱水兆候、口腔状態、嚥下状態、疾患や服薬の影響なども確認する必要があります。介護職だけで判断せず、必要に応じて主治医、看護職、管理栄養士、歯科関係職種等と情報を共有します。

文例を使うときのポイント

  • 「食事拒否」だけでなく、食べない理由や状況を確認する
  • 好きな食べ物やこれまでの食習慣を把握する
  • 食べられたときの環境や声かけも確認する
  • 完食だけを目標にしない
  • 食事量・水分量・体重・体調の変化を確認する
  • 必要に応じて医療・栄養・口腔関係職種と連携する
  • 家族だけに食事を勧める負担を集中させない

まとめ

認知症のある利用者に食事量の低下や食事拒否がみられる場合、「食べてもらうこと」だけを目的にするのではなく、本人がなぜ食事に向かいにくくなっているのかを考えることが重要です。

本人の好みや生活歴、食事環境を手がかりに、本人が食べたいと思える場面を増やしながら、食事量・水分量・体重・体調を継続して確認します。本人の尊厳を守りながら健康維持につなげることが、本人らしい生活を支えるケアプランにつながります。

関連するケアプラン文例

  • ケアプラン文例【認知症・夫婦二人暮らし】
  • ケアプラン文例【認知症・独居】
  • ケアプラン文例【認知症・デイサービス拒否】
  • ケアプラン文例【認知症・入浴拒否】
  • ケアプラン文例【認知症・服薬管理】

認知症のケアプラン文例一覧へ戻る

コメント

タイトルとURLをコピーしました