脳梗塞後遺症による遂行機能の低下がある利用者では、必要な物は分かっていても準備の順序を組み立てにくく、外出を家族任せにすることがあります。
できないと決めつけず、見通し、開始の合図、手順表、物品配置、本人が自分で確認できる方法を評価することが重要です。
ここでは、玄関の四項目チェック表を使い、かばん・連絡帳・薬・杖を自分で確認してデイサービスへ通いたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 元配送担当で、出発前の確認を仕事で習慣にしていた
- 必要物品の名前と用途は理解している
- 準備開始の時刻を自分で決めることが難しい
- 一から四の番号付き表なら順に確認できる
- 物品を玄関の定位置へ置くと自分でかばんへ入れられる
- 完了した項目へ磁石を移せる
- 本人は妻に全部用意されず自分で準備したい
- 妻は開始の声かけと最終確認だけ行いたい
理解、開始、順序、物品探索、完了確認を分けて評価し、本人が過去に使っていた確認方法を活かしてください。
※高次脳機能障害の現れ方は個人差が大きいため、実際の生活場面を確認し、必要に応じて専門職へ相談してください。
利用者像の例
- 64歳・男性・要介護2
- 妻と二人暮らし
- 脳梗塞後遺症による遂行機能障害がある
- 元配送担当で、出発前の確認を仕事で習慣にしていた
- 必要物品の名前と用途は理解している
- 準備開始の時刻を自分で決めることが難しい
- 一から四の番号付き表なら順に確認できる
- 物品を玄関の定位置へ置くと自分でかばんへ入れられる
- 完了した項目へ磁石を移せる
- 本人は妻に全部用意されず自分で準備したい
- 妻は開始の声かけと最終確認だけ行いたい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
持って行く物は分かるので、時間を教えてもらったら自分で表を見て準備したい。
家族の意向
おすすめ文例
全部かばんへ入れず、始める時間だけ声をかけ、最後に本人と一緒に確認したい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と暮らし、元配送担当として行っていた出発前確認の経験を活かし、自分で通所準備をしたいと希望している。
必要物品の名称と用途は理解しているが、準備開始と順序の組み立てが難しい。
玄関の定位置に物品を置き、一から四の番号付き表を用いると、順にかばんへ入れ、磁石で完了を示せる。
妻は開始時刻の合図と最終確認にとどめ、本人が手順表を使って準備する機会を確保する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人の職業経験と手順確認の力を活かし、デイサービスの持ち物を自分で準備できるよう支援する。物品を玄関の定位置へ置き、一から四の番号付きチェック表と完了磁石を使用する。妻は出発三十分前に一度声をかけ、本人の準備終了後に一緒に最終確認する。
別の表現|短めにまとめたい場合
持ち物や外出手順を見える形で整え、本人が自分で確認して外出準備を進められるよう支援する。家族・支援者は急がせず、必要な部分だけ声をかける。
第2表の文例
家族が早く準備することではなく、本人が開始の合図を受け、手順表で順序と完了を確認して外出できることを目標にします。
課題① 決まった時刻に外出準備を始めたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
決まった時刻に外出準備を始めたい。
長期目標
開始の合図を受けて自分で準備へ取りかかれる。
短期目標
出発三十分前の一回の声かけで、玄関の手順表を確認できる。
サービス内容
準備開始時刻を時計の横へ表示し、妻は同じ言葉で一度だけ開始を伝える。
課題② 手順表を使い、持ち物を自分でかばんへ入れたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
手順表を使い、持ち物を自分でかばんへ入れたい。
長期目標
本人が順序に沿って必要物品を準備できる。
短期目標
かばん、連絡帳、薬、杖を一から四の順で確認し、磁石を移せる。
サービス内容
物品を定位置に置き、番号と写真付き表を用い、本人の作業中は追加の指示を控える。
課題③ 自分で確認したうえで、安心してデイサービスへ出発したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自分で確認したうえで、安心してデイサービスへ出発したい。
長期目標
本人が準備完了を確認し、外出を継続できる。
短期目標
全ての磁石を移した後、妻と最終確認して送迎車を待てる。
サービス内容
本人から完了の合図を受けて妻が一緒に確認し、不足時は該当番号を示して本人に再確認してもらう。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 決まった時刻に外出準備を始めたい。 | 開始の合図を受けて自分で準備へ取りかかれる。 | 出発三十分前の一回の声かけで、玄関の手順表を確認できる。 | 準備開始時刻を時計の横へ表示し、妻は同じ言葉で一度だけ開始を伝える。 |
| 手順表を使い、持ち物を自分でかばんへ入れたい。 | 本人が順序に沿って必要物品を準備できる。 | かばん、連絡帳、薬、杖を一から四の順で確認し、磁石を移せる。 | 物品を定位置に置き、番号と写真付き表を用い、本人の作業中は追加の指示を控える。 |
| 自分で確認したうえで、安心してデイサービスへ出発したい。 | 本人が準備完了を確認し、外出を継続できる。 | 全ての磁石を移した後、妻と最終確認して送迎車を待てる。 | 本人から完了の合図を受けて妻が一緒に確認し、不足時は該当番号を示して本人に再確認してもらう。 |
脳梗塞後遺症・遂行機能障害のケアプランで意識したいポイント
開始と実行を分けて見る
物品を扱えるのに始められない場合は、開始の合図だけを支援します。
順序を外部化する
頭の中で組み立てる負担を減らし、番号と写真で次の行動を確認できるようにします。
家族の先回りを減らす
時間に余裕を持ち、本人が完了を示すまで家族が物品を入れない支援にします。
文例を使うときのポイント
- 開始できるかを確認する
- 順序と完了確認を分ける
- 物品を定位置へ置く
- 短い同じ声かけを使う
- 本人の完了後に最終確認する
まとめ
遂行機能障害がある外出準備では、開始、順序、物品探索、完了確認を分けて評価します。
定位置と番号付き表を使い、妻が開始と最終確認だけ支援することで、本人の準備能力を活かせます。
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