脳梗塞後遺症による片麻痺がある利用者では、浴室内の転倒リスクから、洗身や浴槽移動を全面介助にしやすくなります。
浴室移動、脱衣、洗身、浴槽、拭き取りを工程ごとに分け、本人が安定して行える動作を確認することが重要です。
ここでは、シャワーチェアと長柄スポンジを使い、右手で胸・腹・左腕を自分で洗って入浴を楽しみたい利用者を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 仕事後の入浴を楽しみにしてきた生活歴がある
- 浴室入口までT字杖で移動できる
- 縦手すりを右手で持ち、シャワーチェアへ方向転換できる
- 座位で右手を使い胸、腹、左腕を洗える
- 長柄スポンジで両下腿へ届く
- 背中と右腕、浴槽またぎに介助を要する
- 本人は洗える部分を自分で続けたい
- 妻は移動と浴槽出入りを支援したい
脱衣所から浴室までの移動、手すり、座位、洗身範囲、温度感覚、浴槽出入り、疲労を実際の環境で確認してください。
※入浴前後の体調、皮膚状態、温度感覚を確認し、急な体調変化時は中止して医療職へ相談してください。
利用者像の例
- 74歳・男性・要介護2
- 妻と二人暮らし
- 脳梗塞後遺症による左片麻痺がある
- 仕事後の入浴を楽しみにしてきた生活歴がある
- 浴室入口までT字杖で移動できる
- 縦手すりを右手で持ち、シャワーチェアへ方向転換できる
- 座位で右手を使い胸、腹、左腕を洗える
- 長柄スポンジで両下腿へ届く
- 背中と右腕、浴槽またぎに介助を要する
- 本人は洗える部分を自分で続けたい
- 妻は移動と浴槽出入りを支援したい
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
右手と長いスポンジで胸や足は洗えるので、全部洗ってもらわず自分で入浴したい。
家族の意向
おすすめ文例
浴室への移動と浴槽の出入りは支え、本人が洗える部分は急かさず任せたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は妻と暮らし、長年楽しみにしてきた入浴で、右手を使って自分で身体を洗いたいと希望している。
左片麻痺があるが、浴室入口まで杖で移動し、縦手すりを右手で持ってシャワーチェアへ方向転換できる。
座位で胸、腹、左腕を洗い、長柄スポンジで両下腿へ届くが、背中と右腕、浴槽またぎには介助を要する。
本人が洗える範囲を明確にし、妻は移動と難しい洗身部位、浴槽出入りのみ支援する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が右手と長柄スポンジを使って洗身する力を活かし、入浴の楽しみと自立動作を継続できるよう支援する。浴室入口、縦手すり、シャワーチェア、滑り止めを整え、座位で洗身を行う。妻は本人の動作を待ち、背中・右腕・浴槽またぎなど本人が依頼した部分のみ支援する。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人ができる洗身動作を続けられるよう、浴室環境と介助手順を整える。体調や転倒に注意し、本人の羞恥心と希望に配慮して必要な部分を支援する。
第2表の文例
入浴を全介助で安全に済ませるのではなく、本人ができる洗身を続け、必要な工程だけ支援を受けられることを目標にします。
課題① 手すりを使い、安全にシャワーチェアへ移りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
手すりを使い、安全にシャワーチェアへ移りたい。
長期目標
浴室内で転倒なく着座できる。
短期目標
縦手すりを右手で持ち、妻の見守りでシャワーチェアへ方向転換できる。
サービス内容
浴室床と手すりを確認し、妻は麻痺側後方から見守り、ふらつき時のみ支える。
課題② 右手と長柄スポンジで、洗える部分を自分で洗いたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
右手と長柄スポンジで、洗える部分を自分で洗いたい。
長期目標
本人が座位で洗身動作を継続できる。
短期目標
胸、腹、左腕、両下腿を自分で洗える。
サービス内容
道具を右手側へ置き、本人の順番と速度を待ち、背中と右腕のみ依頼後に介助する。
課題③ 必要な介助を受け、安心して浴槽へ入りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
必要な介助を受け、安心して浴槽へ入りたい。
長期目標
本人の希望と体調に応じて入浴を楽しめる。
短期目標
手すりと妻の介助で浴槽をまたぎ、五分程度温まれる。
サービス内容
入浴前の体調と湯温を本人と確認し、浴槽出入りは妻が体幹と麻痺側下肢を支える。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 手すりを使い、安全にシャワーチェアへ移りたい。 | 浴室内で転倒なく着座できる。 | 縦手すりを右手で持ち、妻の見守りでシャワーチェアへ方向転換できる。 | 浴室床と手すりを確認し、妻は麻痺側後方から見守り、ふらつき時のみ支える。 |
| 右手と長柄スポンジで、洗える部分を自分で洗いたい。 | 本人が座位で洗身動作を継続できる。 | 胸、腹、左腕、両下腿を自分で洗える。 | 道具を右手側へ置き、本人の順番と速度を待ち、背中と右腕のみ依頼後に介助する。 |
| 必要な介助を受け、安心して浴槽へ入りたい。 | 本人の希望と体調に応じて入浴を楽しめる。 | 手すりと妻の介助で浴槽をまたぎ、五分程度温まれる。 | 入浴前の体調と湯温を本人と確認し、浴槽出入りは妻が体幹と麻痺側下肢を支える。 |
脳梗塞後遺症・片麻痺の入浴ケアプランで意識したいポイント
入浴を工程に分ける
移動、着座、洗身、浴槽、拭き取りごとに本人ができる動作を確認します。
座位での洗身を活かす
転倒リスクがある立位を避け、シャワーチェアと長柄道具で自力動作を広げます。
介助範囲を本人と決める
家族が先に洗わず、本人が届かない部位や浴槽出入りだけを支援します。
文例を使うときのポイント
- 浴室までの動線を確認する
- 手すりと椅子の位置を確認する
- 本人が洗える部位を把握する
- 温度感覚と皮膚状態を見る
- 浴槽出入りの介助方法を共有する
まとめ
片麻痺の入浴では、工程ごとにできる動作を確認し、座位と長柄道具を活用します。
本人が洗える範囲を保ち、妻が必要な部分だけ支えることで、安全と入浴の楽しみを両立できます。
関連するケアプラン文例
- ケアプラン文例【脳梗塞後遺症・片麻痺・排泄動作】
- ケアプラン文例【脳梗塞後遺症・左片麻痺・更衣】
- ケアプラン文例【脳梗塞後遺症・右片麻痺・屋内歩行】


コメント