進行性の神経筋疾患では、呼吸や嚥下の観察と同時に、本人が意思を伝え選択できる方法を早期から整えます。状態が変化しても本人中心の支援を継続します。
本記事では、神経筋疾患で発声や動作が難しくなった方の意思伝達と在宅療養を支える訪問看護のケアプランを、第1表・第2表で示します。
この記事が参考になるケース
- 60代男性。神経筋疾患で妻と二人暮らし。発声が小さく疲れやすいが、文字盤と視線で意思を伝えられ、家族との生活を続けたいと希望している。
- 本人は「伝え方を工夫し、自分で選びながら家族と自宅で過ごしたい。」と希望している。
- 家族は「呼吸や飲み込みの変化に対応しながら、本人の意思を尊重したい。」と考えている。
医療的支援は主治医の指示に基づき、状態に応じて訪問看護事業所・関係職種と確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
伝え方を工夫し、自分で選びながら家族と自宅で過ごしたい。
家族の意向
おすすめ文例
呼吸や飲み込みの変化に対応しながら、本人の意思を尊重したい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
60代男性。神経筋疾患で妻と二人暮らし。発声が小さく疲れやすいが、文字盤と視線で意思を伝えられ、家族との生活を続けたいと希望している。
本人には「伝え方を工夫し、自分で選びながら家族と自宅で過ごしたい。」という希望があり、文字盤や視線で選べる能力を生かし、疲労で意思を伝えにくい場面でも希望を確認できる体制が必要である。
訪問看護師が主治医の指示に基づき呼吸、痰、嚥下、栄養、疲労、睡眠を確認し、変化を医師へ報告する。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が発声の変化後も文字盤や視線を用いて希望を選択できるよう、訪問看護が呼吸・嚥下・疲労を観察し、主治医・リハビリ職・家族と意思伝達手段と今後の療養方針を段階的に整えます。
別の表現|短めにまとめたい場合
文字盤や視線を用い、本人が希望を伝え選べるよう支援します。呼吸・嚥下の変化も共有します。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 体調の変化を早めに伝え、安全に療養したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
体調の変化を早めに伝え、安全に療養したい。
長期目標
呼吸・嚥下の変化へ早期対応し、在宅生活を継続できる。
短期目標
息苦しさや痰、飲み込みにくさを合図や文字盤で伝えられる。
サービス内容
訪問看護師が主治医の指示に基づき呼吸、痰、嚥下、栄養、疲労、睡眠を確認し、変化を医師へ報告する。
課題② 自分の希望を伝え、選び続けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自分の希望を伝え、選び続けたい。
長期目標
状態が変化しても本人の意思が尊重される。
短期目標
疲れにくい意思伝達方法を本人・家族・支援者で確認できる。
サービス内容
発声、文字盤、視線入力、スイッチ等を評価し、リハビリ職や機器事業者と本人に合う方法を準備する。
課題③ 家族と今後の療養方法を相談したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
家族と今後の療養方法を相談したい。
長期目標
本人と家族が情報を得て、納得できる療養方針を選択できる。
短期目標
人工呼吸、栄養、急変時対応等について疑問と希望を医療職へ伝えられる。
サービス内容
本人の意思決定能力と希望を確認し、主治医・家族・多職種で情報提供と意思決定支援を段階的に行う。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 体調の変化を早めに伝え、安全に療養したい。 | 呼吸・嚥下の変化へ早期対応し、在宅生活を継続できる。 | 息苦しさや痰、飲み込みにくさを合図や文字盤で伝えられる。 | 訪問看護師が主治医の指示に基づき呼吸、痰、嚥下、栄養、疲労、睡眠を確認し、変化を医師へ報告する。 |
| 自分の希望を伝え、選び続けたい。 | 状態が変化しても本人の意思が尊重される。 | 疲れにくい意思伝達方法を本人・家族・支援者で確認できる。 | 発声、文字盤、視線入力、スイッチ等を評価し、リハビリ職や機器事業者と本人に合う方法を準備する。 |
| 家族と今後の療養方法を相談したい。 | 本人と家族が情報を得て、納得できる療養方針を選択できる。 | 人工呼吸、栄養、急変時対応等について疑問と希望を医療職へ伝えられる。 | 本人の意思決定能力と希望を確認し、主治医・家族・多職種で情報提供と意思決定支援を段階的に行う。 |
訪問看護のケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
看護の実施自体を目標にせず、本人が自宅で続けたい暮らしや役割を確認します。
本人の選択を待つ時間と支援範囲を決める
文字盤を選ぶ・視線で示す工程は本人に任せ、支援者は姿勢や盤面の位置を整え、受け取った意味を本人に確認します。発声困難だけで理解力の低下と判断せず、疲れた時は休息を挟みます。家族の推測を本人の希望として記録しないことが大切です。
変化と連絡方法を共有する
希望が伝わるまでの時間、伝達できた内容、疲労や読み取りの誤り、支援者が交代しても伝わるかを確認します。呼吸・嚥下の変化と併せて前回と比較し、合図が使いにくくなれば代替方法と緊急連絡手段を見直します。療養方針は確認日と本人の表出方法を記録し、変更の希望も尋ねます。
文例を使うときのポイント
- 機器導入や療養方針を先回りして決めず、本人が理解・表出できる方法と時間を確保して意思決定を支援します。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 病状・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
発声が難しくなっても、文字盤や視線で本人の選択を確認します。伝達にかかる時間と疲労を見ながら、代替手段と療養方針を見直します。


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