ケアプラン文例【認知症・入浴拒否】|清潔保持につなげる第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、入浴を勧めても「今日は入らない」「昨日入った」「汚れていない」などと話し、入浴を拒むことがあります。このような場合、単に「入浴拒否」と捉えるのではなく、本人がなぜ入浴したくないと感じているのか、その背景を考えることが大切です。

ここでは、自宅やデイサービスで入浴を拒むことが増えている認知症の利用者を例に、本人・家族の意向から第1表、第2表までつながるケアプラン文例を紹介します。

入浴拒否以外の認知症症状や生活上の困りごとに応じた文例は、ケアプラン文例一覧から確認できます。

この記事が参考になるケース

  • 認知症があり、入浴を嫌がることが増えている
  • 「昨日入った」「汚れていない」と話す
  • 入浴を強く勧めると怒ったり不安になったりする
  • 自宅での入浴が難しくなっている
  • デイサービスで入浴支援を受けている
  • 更衣や洗身など自分で行える動作は残っている
  • 家族が清潔保持や臭い、皮膚状態を心配している

担当ケースに近い部分を選び、本人が入浴を嫌がる理由や生活歴に合わせて調整してください。

※文例はそのまま使用するのではなく、本人の生活歴、入浴習慣、心身状態、拒否の背景、家族状況などに合わせて調整してください。

利用者像の例

  • 83歳・女性・要介護2
  • 長男夫婦と同居
  • アルツハイマー型認知症
  • 屋内歩行、食事、排泄は概ね自立
  • 更衣は準備があれば自分で行える
  • 自宅では入浴を勧めても「昨日入った」と話し断ることが多い
  • 衣類の汚れや汗の臭いに本人自身は気付きにくい
  • 以前は夕食前に入浴することが長年の習慣だった
  • デイサービスでは馴染みの職員から声をかけられると入浴できる日もある
  • 強く勧められると「私を子ども扱いするな」と怒ることがある
  • 通所介護週3回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|本人の自尊心を重視する場合

自分のことは自分でできるし、汚れてもいないのに何度もお風呂に入れと言われるのは嫌だ。入りたいときに自分のペースで入りたい。

別の表現①|入浴そのものに不安がある場合

お風呂は滑りそうで少し怖い。急かされず、安心できる人がそばにいてくれるなら入りたい。

別の表現②|羞恥心が強い場合

人に見られたり手伝われたりするのは恥ずかしい。できることは自分でやりたい。

家族の意向

おすすめ文例|本人の気持ちを尊重したい場合

無理に入浴させて本人と険悪になるのは避けたいが、清潔は保ってほしい。本人が嫌な気持ちにならずに入浴できる方法を一緒に考えてほしい。

別の表現|家族が対応に疲れている場合

家では何度勧めても断られ、声をかけるたびに言い合いになることが増えている。家族だけで何とかしようとせず、デイサービスでも支援してもらいたい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は身の回りのことを自分で行いたいという思いが強く、入浴を繰り返し勧められることに対して「子ども扱いされている」と感じ、拒否につながることがある。認知症により直近の入浴時期を正確に思い出すことが難しく、「昨日入った」と認識していることも拒否の一因となっている。また、他者に身体を見られることへの羞恥心や、浴室内での転倒に対する不安も考えられる。一方、馴染みの職員から本人の気持ちに配慮した声かけを受けた場合には入浴できる日もあり、更衣や洗身など自分で行える動作も残されている。本人の拒否を問題行動として捉えるのではなく、自尊心、不安、羞恥心、これまでの入浴習慣を踏まえた関わりを行い、本人が安心して清潔を保てる方法を検討する必要がある。

別の表現|家族との関係にも配慮する場合

本人は入浴の必要性を感じにくく、家族から勧められると強く拒否することがあり、入浴をめぐって家族との言い合いが増えている。一方、通所介護では職員との関係や声かけの方法によって入浴できることもあり、環境や関わる人によって受け入れ方が異なっている。本人の清潔保持だけを優先して無理に入浴を促すのではなく、本人が安心できる時間帯や職員、声かけ方法を検討し、自分で行える動作を活かすことで自尊心に配慮した支援を行う必要がある。また、家族だけに入浴を促す役割を集中させず、サービスを活用して家族関係の悪化や介護負担の増加を防ぐ必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人の自尊心や羞恥心を尊重し、入浴を一方的に勧めるのではなく、本人が安心して受け入れられるタイミングや声かけ方法を検討する。通所介護では馴染みの職員が関わり、本人の気分や体調を確認しながら入浴を提案する。更衣や洗身など本人が自分で行える動作は見守りを基本とし、必要な部分のみ介助する。入浴が難しい場合には清拭や更衣など他の方法も活用し、清潔保持を図る。本人の反応や受け入れやすい対応方法を家族と関係職種で共有し、本人と家族双方にとって負担の少ない支援につなげる。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の入浴拒否の背景にある不安や羞恥心、自尊心に配慮し、本人が安心できる関わり方で清潔保持を支援する。自分で行える動作を活かしながら必要な部分のみ支援し、本人が受け入れやすい声かけや時間帯を家族・通所介護・関係職種で共有する。

第2表の文例

入浴拒否がある場合は、「週○回入浴すること」だけを目標にするのではなく、本人が安心して清潔を保ち、気持ちよく生活できることを目標として考えます。

課題① 自分の気持ちを大切にしながら清潔に過ごしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

自分の気持ちやペースを大切にしてもらいながら、身体を清潔にして気持ちよく過ごしたい。

ニーズの別表現|自立への思いを強く出す場合

自分でできることは自分で行いながら、必要なところだけ手伝ってもらい、清潔な生活を続けたい。

長期目標

本人が安心できる方法で清潔を保ち、快適な生活を継続することができる。

短期目標

本人の気分やタイミングに配慮した声かけを受けながら、自分で行える更衣や洗身動作を続けることができる。

サービス内容

本人の表情や気分を確認しながら入浴を提案し、拒否がみられた場合は無理に勧めず時間を置く。本人が行える洗身・更衣動作は見守り、困難な部分のみ支援する。

課題② 不安なく安全に入浴したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

転ばないよう安心してお風呂に入り、身体を温めて気持ちよく過ごしたい。

長期目標

安全な環境と必要な見守りのもと、安心して入浴を継続できる。

短期目標

浴室内で分かりやすい声かけと見守りを受けながら、落ち着いて移動や洗身を行うことができる。

サービス内容

入浴前に体調を確認し、浴室内の移動や立ち座り時には安全を確保する。本人を急かさず、一つずつ分かりやすく声をかけ、必要に応じて手すり使用や介助を行う。

課題③ 入浴できない日も無理なく清潔を保ちたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

お風呂に入りたくない日でも、自分が嫌だと感じない方法で身体を清潔にして過ごしたい。

長期目標

本人の気持ちを尊重した方法で清潔が保たれ、皮膚状態を良好に維持できる。

短期目標

入浴が難しい場合にも、更衣や部分清拭など本人が受け入れられる方法で清潔を保つことができる。

サービス内容

入浴を強く拒否する場合は無理に実施せず、更衣、部分清拭、整容など本人が受け入れられる方法を提案する。皮膚状態や衣類の汚れを確認し、必要な清潔保持につなげる。

課題④ 家族と穏やかな関係を保ちながら生活したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

お風呂のことで家族と言い合いにならず、お互いに穏やかな気持ちで過ごしたい。

長期目標

清潔保持に必要な支援を介護サービスと分担し、本人と家族が穏やかな関係を保ちながら在宅生活を継続できる。

短期目標

家族だけで入浴を促す負担が軽減し、本人に対して繰り返し説得する場面を減らすことができる。

サービス内容

通所介護での入浴状況や本人が受け入れやすかった声かけ方法を家族と共有する。家族には無理に説得を続けず、本人が拒否した場合の対応方法を伝え、家族の精神的負担軽減につなげる。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
自分の気持ちやペースを大切にしてもらいながら、身体を清潔にして気持ちよく過ごしたい。 本人が安心できる方法で清潔を保ち、快適な生活を継続できる。 本人のタイミングに配慮した声かけを受けながら、自分で行える更衣や洗身を続けることができる。 本人の気分を確認しながら入浴を提案し、できる動作は見守り、必要な部分のみ支援する。
転ばないよう安心してお風呂に入り、身体を温めて気持ちよく過ごしたい。 安全な環境と必要な見守りのもと、安心して入浴を継続できる。 声かけと見守りを受けながら、落ち着いて浴室内の移動や洗身を行える。 体調と安全を確認し、本人を急かさず必要な部分のみ介助する。
入浴したくない日でも、自分が嫌だと感じない方法で清潔に過ごしたい。 本人の気持ちを尊重した方法で清潔が保たれ、皮膚状態を良好に維持できる。 更衣や部分清拭など、本人が受け入れられる方法で清潔を保てる。 入浴を無理に行わず、更衣・清拭・整容など代替方法を活用する。
お風呂のことで家族と言い合いにならず、お互いに穏やかに過ごしたい。 支援を分担し、本人と家族が穏やかな関係を保ちながら在宅生活を継続できる。 家族が繰り返し入浴を説得する場面を減らすことができる。 本人が受け入れやすい対応方法をサービス事業所と家族で共有する。

認知症・入浴拒否のケアプランで意識したいポイント

「入浴しない理由」を考える

入浴を拒む背景には、「入ったことを覚えていない・逆に昨日入ったと思っている」といった記憶の問題だけでなく、寒さ、疲労、転倒への不安、裸を見られる羞恥心、人に指示されることへの抵抗などが考えられます。拒否という結果だけでなく、その前後の状況を確認します。

入浴そのものをゴールにしない

ケアプラン上の目的は「週2回入浴すること」ではなく、本人が清潔で快適な生活を送ることです。入浴が難しい日は、更衣や部分清拭など別の方法で清潔を保つことも選択肢になります。

本人の自尊心と羞恥心に配慮する

本人が自分で行える洗身や更衣まで介助すると、「できるのにやられた」という不快感につながることがあります。できる動作は本人に任せ、介助が必要な部分だけを支援することで、自尊心を保ちながら清潔保持につなげます。

受け入れやすい人・時間・声かけを共有する

同じ利用者でも、職員や時間帯、声のかけ方によって反応が異なることがあります。「○○さんが声をかけると入りやすい」「昼食後は受け入れやすい」など、うまくいった関わりを記録し、家族や事業所内で共有します。

家族だけに説得を任せない

家族が毎回入浴を説得し続けることで、本人との関係が悪化することがあります。清潔保持の方法を介護サービスと分担し、本人が受け入れやすい対応を関係者で共有することも重要な家族支援です。

文例を使うときのポイント

  • 「入浴拒否あり」だけで終わらず、その理由や背景を考える
  • 本人のこれまでの入浴習慣を確認する
  • 羞恥心や自尊心への配慮を忘れない
  • 本人が自分で行える洗身・更衣動作を把握する
  • 受け入れやすい職員・時間帯・声かけ方法を共有する
  • 入浴できない場合の清潔保持方法も検討する
  • 家族だけに入浴を促す役割を集中させない

まとめ

認知症のある利用者が入浴を拒む場合、無理に入浴させることを目的にするのではなく、本人がなぜ嫌がっているのかを丁寧に考えることが重要です。

本人の不安、羞恥心、自尊心、生活習慣を踏まえ、安心できる声かけや環境を整えながら、自分で行える動作を活かして清潔保持を支援します。入浴が難しい日には別の方法も活用し、本人と家族双方に無理のない支援を組み立てることが、本人らしい生活を支えるケアプランにつながります。

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