ケアプラン文例【認知症・電話・詐欺・訪問販売】|金銭トラブルを防ぐ第1表・第2表の記入例

認知症のある利用者では、電話で勧められた商品を断れなかったり、訪問販売の説明を十分に理解しないまま契約したりすることがあります。一方で、電話は家族や友人とつながる大切な手段であり、買い物や契約をすべて家族任せにすることが本人の望む生活とは限りません。

ここでは、認知症により電話の内容を十分に覚えておくことが難しくなり、不要な商品購入や訪問販売による契約が心配されている利用者を例に、本人の自己決定を大切にしながら金銭トラブルを防ぐ第1表・第2表のケアプラン文例を紹介します。

この記事が参考になるケース

  • 知らない相手からの電話にも出てしまう
  • 電話で商品を勧められると断りにくい
  • 注文したこと自体を忘れることがある
  • 同じような商品が何度も届くことがある
  • 訪問販売の相手を家に入れてしまうことがある
  • 契約書や請求書の内容を理解しにくくなっている
  • 家族は詐欺や高額契約を心配している
  • 本人は電話や自分で買い物をする生活を続けたい

担当ケースに近い部分を選び、本人の判断力、電話の利用状況、金銭管理、家族の支援状況などに合わせて調整してください。

※文例はそのまま使用するのではなく、本人の認知機能、契約理解、金銭管理能力、生活環境、家族関係などに合わせて調整してください。

利用者像の例

  • 81歳・女性・要介護1
  • 一人暮らし
  • 長男は車で30分程度の場所に居住
  • アルツハイマー型認知症
  • 食事、更衣、排泄、屋内外移動は概ね自立
  • 固定電話を長年使用しており、友人や家族との電話を楽しみにしている
  • 電話で健康食品を勧められ、本人が注文したことを忘れていたことがある
  • 自宅に同じ商品が複数届いたことがある
  • 訪問してきた相手を「せっかく来てくれたから」と家に入れることがある
  • 契約内容を後から説明しても「そんな話は聞いていない」と話すことがある
  • 本人は「自分のことは自分で決めたい」と話している
  • 訪問介護週2回、通所介護週2回利用

本人・家族の意向の文例

本人の意向

おすすめ文例|電話を続けたい場合

家族や友達から電話が来るので、電話はこれからも使いたい。知らない人からの話で分からないことがあれば、家族に相談してから決めたい。

別の表現①|自分で決めたい気持ちが強い場合

何でも家族に決めてもらうのではなく、自分で分かることは自分で決めたい。難しいことだけ一緒に確認してほしい。

別の表現②|トラブルへの不安がある場合

頼んだ覚えのない物が届くと不安になるので、知らない人から勧められたときには誰かに相談できるようにしたい。

家族の意向

おすすめ文例|本人の生活を制限したくない場合

電話は本人にとって友人や家族とつながる大切な手段なので取り上げたくはない。ただ、知らない相手からの勧誘や契約は心配なので、本人が相談してから決められる仕組みを作りたい。

別の表現|金銭トラブルへの不安が強い場合

本人が内容を十分に理解しないまま契約してしまわないか心配している。家族だけで常に見守ることは難しいため、関係者にも状況を共有して支えてほしい。

第1表の文例

利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果

おすすめ文例

本人は一人暮らしを継続しており、家族や友人との電話を生活の楽しみとしている。また、自分の生活に関することはできる限り自分で決めたいという思いが強い。一方、認知症による記憶力や判断力の低下から、電話で勧められた商品の注文内容を覚えていないことや、契約内容を十分に理解しないまま相手の話を受け入れてしまうことがある。過去には同様の商品が複数届いたこともあり、今後は不要な購入や金銭トラブルへの注意が必要である。電話や買い物等の生活上の自己決定を一律に制限するのではなく、知らない相手から商品や契約を勧められた際にはその場で決めず、家族等に相談して確認できる方法を整える必要がある。

別の表現|独居の安全をより重視する場合

本人は基本的な生活動作を自ら行い、一人暮らしを継続できているが、電話や訪問者への対応では相手の説明を十分に保持・判断することが難しくなっている。本人は人との関わりを大切にしており、相手を強く断ることが苦手なため、不要な契約や購入につながる可能性がある。本人の人とのつながりや自己決定を尊重しつつ、契約や金銭が関係する場合には一人で判断せず家族や支援者に相談できる仕組みを整え、生活上の不利益を防ぐ必要がある。

総合的な援助の方針

おすすめ文例

本人が家族や友人との電話や自分で選択する生活を継続できるよう、本人の自己決定を尊重する。知らない相手から商品購入や契約を勧められた際には、その場で決めず家族等へ相談することを本人と確認し、分かりやすい連絡方法を整える。電話や訪問販売による購入・契約状況について家族・ケアマネジャー・関係サービスで必要な情報を共有し、不審な請求や商品がみられた場合には早期に確認する。本人だけで判断が難しい状況が増えた場合には、本人の意向を踏まえて支援方法を見直し、安心して在宅生活を継続できるよう支援する。

別の表現|短めにまとめたい場合

本人の電話や買い物を続けたいという思いを尊重しながら、知らない相手からの商品購入や契約については一人で判断せず家族等へ相談できる体制を整える。金銭トラブルの兆候を家族・関係職種で共有し、本人の状態に応じて支援方法を見直す。

第2表の文例

電話や訪問販売によるトラブルが心配な場合も、「電話に出ない」「買い物をさせない」ことを生活目標にするのではなく、本人が必要な人とのつながりを続けながら、難しい判断では周囲に相談できる生活を目標として考えます。

課題① 家族や友人とのつながりをこれからも大切にしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

家族や友人と電話で話す楽しみを続け、人とのつながりを持ちながら生活したい。

ニーズの別表現|本人の生活を制限しない場合

心配だからと電話を使えなくするのではなく、安心して必要な人と連絡を取りたい。

長期目標

安全に電話を利用しながら、家族や友人との交流を継続し、孤立せず生活できる。

短期目標

家族や友人等の馴染みのある相手との電話を継続し、安心して会話を楽しむことができる。

サービス内容

本人が日常的に連絡する家族や友人との電話利用は継続できるよう支援する。本人が操作しやすく、必要な連絡先を確認しやすい電話環境を本人・家族と検討する。

課題② 分からない契約は一人で決めず安心して相談したい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

知らない人から商品や契約を勧められたときに、一人で悩まず家族等に相談してから決めたい。

長期目標

本人だけでは判断が難しい契約等について、信頼できる人に相談しながら安心して生活できる。

短期目標

知らない相手から購入や契約を勧められた際に、その場で返事をせず家族等へ相談することができる。

サービス内容

本人と「分からない話やお金が必要な話は、その場で決めずに一度家族へ確認する」ことを分かりやすく共有する。相談先の連絡先を本人が確認しやすい場所に置き、必要時に支援者も相談を促す。

課題③ 不要な商品や請求で困らず安心して暮らしたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

頼んだ覚えのない商品や分からない請求で困ることなく、安心してお金を使いながら生活したい。

長期目標

不審な購入や請求を早期に確認でき、生活に必要な金銭を守りながら在宅生活を継続できる。

短期目標

本人が覚えていない商品や請求があった場合に、家族や支援者へ相談して確認することができる。

サービス内容

本人の意向に配慮しながら、見慣れない商品、請求書、契約書等がないか必要に応じて確認する。トラブルが疑われる場合は家族・ケアマネジャー等で情報を共有し、必要な相談先につなげる。

課題④ 家族も常に電話や契約を心配せず本人の生活を支えたい

生活全般の解決すべき課題(ニーズ)

本人の自分らしい生活を大切にしながら、家族も詐欺や契約のことを常に心配せずに見守りたい。

長期目標

本人の自己決定と金銭面の安全が両立し、家族も過度な不安を抱えず在宅生活を支えることができる。

短期目標

不審な電話や契約があった際の対応方法を本人・家族・関係職種で共有することができる。

サービス内容

不審な電話、訪問、商品、請求等がみられた際の連絡方法を関係者で共有する。本人の判断力や契約状況に変化がみられた場合には、本人の意向を確認しながら支援体制を再検討する。

第2表の完成イメージ

上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。

※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。

生活全般の解決すべき課題(ニーズ) 長期目標 短期目標 サービス内容
家族や友人と電話で話す楽しみを続け、人とのつながりを持って生活したい。 安全に電話を利用しながら、家族や友人との交流を継続できる。 馴染みのある相手との電話を安心して楽しむことができる。 必要な連絡先を確認しやすい電話環境を整える。
知らない人から契約を勧められたとき、一人で悩まず相談したい。 判断が難しい契約について信頼できる人へ相談しながら生活できる。 購入・契約を勧められた際、その場で決めず家族等へ相談できる。 分からない契約は一度相談することを本人と共有し、相談方法を整える。
覚えのない商品や請求で困らず、安心してお金を使いたい。 不審な購入や請求を早期に確認し、必要な金銭を守りながら生活できる。 分からない商品・請求があった際に家族等へ相談できる。 不審な商品や書類があった際に関係者で確認し、必要な相談先につなげる。
本人の生活を大切にしながら、家族も契約等を心配しすぎず見守りたい。 本人の自己決定と安全が両立し、家族も過度な不安なく支援できる。 トラブル時の対応方法を本人・家族・支援者で共有できる。 不審な電話や契約時の連絡方法を共有し、状態変化に応じて見直す。

認知症・電話・詐欺・訪問販売のケアプランで意識したいポイント

電話そのものを問題にしない

電話は、家族や友人とのつながり、孤独感の軽減、緊急時の連絡など生活上重要な役割を持っています。金銭トラブルが心配だからとすぐに電話を使えなくするのではなく、危険が生じる場面を具体的に確認します。

契約のどの部分が難しいのかを見る

相手の話を理解すること、内容を覚えておくこと、金額を判断すること、断ることなど、契約には複数の能力が必要です。本人がどこで困っているのかを整理すると、必要な支援を考えやすくなります。

「知らない人には全部断って」だけで終わらせない

認知症によって説明内容を保持することが難しい場合、口頭で一度注意しただけでは対応しにくいことがあります。本人が迷ったときに相談できる相手や、分かりやすい確認方法を生活の中に作ることが重要です。

本人の「人を信じたい気持ち」も理解する

訪問者を家に入れたり、勧められた商品を断れなかったりする背景には、長年人付き合いを大切にしてきた本人の価値観がある場合があります。「騙されやすい人」とだけ捉えず、本人の生活歴や対人関係の特徴も確認します。

小さな変化を早めに拾う

見慣れない商品が増えている、同じ商品が複数ある、請求書や契約書が増えているなど、生活の中の変化がトラブルの手がかりになることがあります。本人を監視するのではなく、必要な範囲で生活状況を確認します。

本人だけ・家族だけで抱え込まない

実際に契約や金銭トラブルが疑われる場合は、本人と家族だけで解決しようとせず、ケアマネジャーや関係機関など必要な相談先につなげることも重要です。

文例を使うときのポイント

  • 本人が普段どのように電話を使っているか確認する
  • 家族や友人との大切な連絡手段は残す
  • どのような電話や訪問でトラブルが起きているか整理する
  • 本人が契約のどの部分を理解しにくいのか確認する
  • その場で契約せず相談できる方法を整える
  • 見慣れない商品や請求書等の変化を確認する
  • 本人の自己決定を必要以上に奪わない
  • 家族だけでトラブル対応を抱え込まない

まとめ

認知症のある利用者に電話勧誘や訪問販売による金銭トラブルが心配される場合、電話や買い物そのものを一律に制限するのではなく、本人がどのような場面で判断に困っているのかを具体的に確認することが重要です。

家族や友人とのつながりや本人自身が選ぶ生活を残しながら、分からない契約や金銭に関する話は信頼できる人へ相談する仕組みを整えることで、自己決定と安全の両立につながります。本人の状態や生活状況の変化を関係者で共有し、必要な部分だけ支援を補うケアプランを組み立てることが大切です。

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