大腿骨転子部骨折後、本人が早く杖へ移行したいと希望しても、安全性や生活場面によって適切な補助具は異なります。
本記事では、屋内の一部で杖を試しながら、屋外や疲労時は歩行器を使い分ける事例を紹介します。
ここでは、補助具の変更を自立の優劣で捉えず、専門職の評価と本人の納得に基づいて段階的に見直します。を例に紹介します。
この記事が参考になるケース
- 妻は歩行器の継続を望み、本人との間で意見が分かれている。
杖へ移行できるかだけでなく、時間帯、距離、方向転換、物を持つ動作、屋内外の路面など場面別に安定性を確認する。
補助具の種類、高さ、使用場面の変更は理学療法士等の評価を受け、本人や家族の判断だけで変更しない。
利用者像の例
- 74歳男性。大腿骨転子部骨折後、屋内外とも歩行器を使用している。
- 上肢支持があれば安定して歩けるが、狭い台所では歩行器が方向転換の妨げになると感じている。
- 本人は以前使っていた杖へ早く戻したいが、夕方は足運びが小さくなりやすい。
- 妻は歩行器の継続を望み、本人との間で意見が分かれている。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
台所など狭い場所では杖を使えるようになりたい。疲れた時は歩行器を使うことも納得している。
家族の意向
おすすめ文例
転倒が心配だが、本人が動きやすい方法を専門職と一緒に決めたい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
本人は歩行器で安定して移動でき、補助具を使用する必要性も理解している。
狭い場所での取り回しに不便があり杖を希望する一方、疲労時の足運びや方向転換には不安が残る。
専門職が場面別に歩行を評価し、杖を試す範囲と歩行器を継続する場面を本人・妻と合意する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
理学療法士等が杖と歩行器それぞれの安定性を生活場面で評価する。本人が体調と場所に応じて補助具を使い分けられるよう、判断の目安を共有する。妻の不安を確認しつつ、本人の希望を直接聞いて段階的な試行を支える。
別の表現|短めにまとめたい場合
生活場面ごとに杖と歩行器の安全性を評価し、本人が体調や場所に応じて補助具を選べるよう、家族と段階的な試行を支援する。
第2表の文例
補助具を一律に変更せず、生活場面と体調に応じた使い分けを目指す。
課題① 狭い場所でも自分で移動し、台所で飲み物を準備したい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
狭い場所でも自分で移動し、台所で飲み物を準備したい。
長期目標
評価された範囲で杖を使い、台所まで安全に移動できる。
短期目標
専門職の見守り下で杖を使い、台所まで往復できる。
サービス内容
理学療法士等が杖の高さ、支持性、方向転換、台所動線を評価し、使用範囲を本人と決める。
課題② 疲労時は無理をせず、安定した補助具を選びたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
疲労時は無理をせず、安定した補助具を選びたい。
長期目標
時間帯と体調に応じて杖と歩行器を使い分けられる。
短期目標
夕方や屋外では本人が歩行器を選択できる。
サービス内容
支援者は歩幅、ふらつき、疲労の自己認識を確認し、使い分けの目安を本人が理解できる形で共有する。
課題③ 妻と相談しながら補助具の見直しを進めたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
妻と相談しながら補助具の見直しを進めたい。
長期目標
本人と妻が評価結果を共有し、納得して補助具を使用できる。
短期目標
杖を試した結果と不安を本人・妻・専門職で振り返れる。
サービス内容
ケアマネジャーは本人と妻双方の意見を確認し、専門職の評価を基に支援方針を調整する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 狭い場所でも自分で移動し、台所で飲み物を準備したい。 | 評価された範囲で杖を使い、台所まで安全に移動できる。 | 専門職の見守り下で杖を使い、台所まで往復できる。 | 理学療法士等が杖の高さ、支持性、方向転換、台所動線を評価し、使用範囲を本人と決める。 |
| 疲労時は無理をせず、安定した補助具を選びたい。 | 時間帯と体調に応じて杖と歩行器を使い分けられる。 | 夕方や屋外では本人が歩行器を選択できる。 | 支援者は歩幅、ふらつき、疲労の自己認識を確認し、使い分けの目安を本人が理解できる形で共有する。 |
| 妻と相談しながら補助具の見直しを進めたい。 | 本人と妻が評価結果を共有し、納得して補助具を使用できる。 | 杖を試した結果と不安を本人・妻・専門職で振り返れる。 | ケアマネジャーは本人と妻双方の意見を確認し、専門職の評価を基に支援方針を調整する。 |
歩行器から杖へ見直す場合のポイント
場面別に評価する
一度の歩行だけで判断せず、距離、時間帯、屋内外、方向転換を確認する。
補助具に優劣をつけない
歩行器を後退と捉えず、安全に活動を続けるための選択肢として説明する。
試行と振り返りを行う
使用範囲を限定して試し、本人の感覚と客観的な歩行状態を共有する。
文例を使うときのポイント
- 実際の自宅動線で両方の補助具を評価する。
- 疲労が出やすい時間帯の歩行も確認する。
- 転倒の有無だけでなく、本人の移動量と役割の変化を評価する。
まとめ
補助具の見直しは、杖へ進むこと自体が目的ではありません。
本人の希望を踏まえ、生活場面と体調に応じた使い分けを専門職と段階的に決めることが重要です。
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