看取り期の訪問介護は、食事・排泄・清潔・体位等の日常生活を支え、本人が望む過ごし方を守る役割があります。医療的判断や処置は訪問看護・主治医と連携し、介護員が一人で抱えません。
本記事では、ベッド上で過ごす時間が増えても、顔拭きや音楽、家族との時間を大切にしたい方の看取り期の訪問介護を扱います。望む過ごし方、無理のない生活介助、訪問看護・主治医への連絡を第1表・第2表の文例で示します。
この記事が参考になるケース
- 80代女性。進行性疾患で自宅療養中。ベッド上で過ごす時間が増えたが、顔を拭く、好きな音楽を聴く、家族とお茶の香りを楽しむことを希望している。
- 本人は「苦痛を少なくし、家族と自宅で穏やかに過ごしたい。」と希望している。
- 家族は「本人の希望を守りながら、変化時にすぐ相談できる体制がほしい。」と考えている。
サービスの利用可否・提供範囲・医療的支援は、保険者、事業所、主治医等へ確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
苦痛を少なくし、家族と自宅で穏やかに過ごしたい。
家族の意向
おすすめ文例
本人の希望を守りながら、変化時にすぐ相談できる体制がほしい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
80代女性。進行性疾患で自宅療養中。ベッド上で過ごす時間が増えたが、顔を拭く、好きな音楽を聴く、家族とお茶の香りを楽しむことを希望している。
本人には「苦痛を少なくし、家族と自宅で穏やかに過ごしたい。」という希望があり、現在行えていることと生活上の役割を生かす必要がある。
訪問介護員が本人の意思と体調を確認し、顔拭き、更衣、排泄、環境調整等を無理のない範囲で支援する。日課を一律に求めない。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が自宅で家族と穏やかに過ごしたい希望を中心に、訪問介護員が顔拭き・更衣・排泄・環境調整等の日常生活を本人の体調に合わせて支え、苦痛や状態変化を訪問看護・主治医へ速やかに共有して家族とともに療養生活を支援します。
別の表現|短めにまとめたい場合
その日の本人の希望と負担を確かめ、顔拭きや身支度を無理のない範囲で支えます。本人と家族の思いの変化をチームで共有し、苦痛や状態変化は決めた連絡先へ速やかにつなぎます。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 苦痛を少なくし、家族と自宅で穏やかに過ごしたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
苦痛を少なくし、家族と自宅で穏やかに過ごしたい。
長期目標
本人の希望と尊厳が守られ、安心できる環境で在宅療養を続けられる。
短期目標
その日に希望する清潔、衣類、音楽、家族との時間を本人の方法で選べる。
サービス内容
訪問介護員が本人の意思と体調を確認し、顔拭き、更衣、排泄、環境調整等を無理のない範囲で支援する。日課を一律に求めない。
課題② 苦痛や状態変化を早めに医療職へ伝えたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
苦痛や状態変化を早めに医療職へ伝えたい。
長期目標
変化時に適切な医療・看護の対応を受け、本人と家族の不安を軽減できる。
短期目標
痛み、呼吸、意識、食事・水分等の変化が決めた手順で連絡される。
サービス内容
訪問時の本人の表情・呼吸・痛み・摂取・排泄を観察し、異変は訪問看護・主治医等へ速やかに共有する。介護員が医学的判断を行わない。
課題③ 家族が一人で抱えず、本人との時間を大切にしたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
家族が一人で抱えず、本人との時間を大切にしたい。
長期目標
家族が相談と休息を確保し、本人に寄り添う時間を持てる。
短期目標
家族が不安と希望を支援者へ伝え、休息を取れる。
サービス内容
家族の睡眠、体調、介助負担、理解を確認し、訪問看護・ケアマネジャー等と役割を共有する。緊急時の連絡先を整える。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 苦痛を少なくし、家族と自宅で穏やかに過ごしたい。 | 本人の希望と尊厳が守られ、安心できる環境で在宅療養を続けられる。 | その日に希望する清潔、衣類、音楽、家族との時間を本人の方法で選べる。 | 訪問介護員が本人の意思と体調を確認し、顔拭き、更衣、排泄、環境調整等を無理のない範囲で支援する。日課を一律に求めない。 |
| 苦痛や状態変化を早めに医療職へ伝えたい。 | 変化時に適切な医療・看護の対応を受け、本人と家族の不安を軽減できる。 | 痛み、呼吸、意識、食事・水分等の変化が決めた手順で連絡される。 | 訪問時の本人の表情・呼吸・痛み・摂取・排泄を観察し、異変は訪問看護・主治医等へ速やかに共有する。介護員が医学的判断を行わない。 |
| 家族が一人で抱えず、本人との時間を大切にしたい。 | 家族が相談と休息を確保し、本人に寄り添う時間を持てる。 | 家族が不安と希望を支援者へ伝え、休息を取れる。 | 家族の睡眠、体調、介助負担、理解を確認し、訪問看護・ケアマネジャー等と役割を共有する。緊急時の連絡先を整える。 |
訪問介護のケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
サービス利用自体を目標にせず、本人が続けたい暮らし、役割、参加を確認します。
本人ができることを生かす
本人に任せる量を増やすこと自体を目標にせず、今日は自分で行いたいか、手伝ってほしいかを確認します。返答が難しい時も表情やしぐさ、これまでの希望を家族・チームで共有します。介助の実施量より、負担が増えていないか、望む時間を持てたかを評価します。
本人の希望の変化と介助による負担を確認する
本人の意思、苦痛、呼吸・意識、清潔・排泄、食事・水分、家族の不安・休息、多職種の連絡を確認します。
文例を使うときのポイント
- 訪問介護は提供可能な範囲の生活支援と変化の観察・報告を担い、医療上の判断や処置は主治医・訪問看護等の医療職につなぎます。在宅で過ごしたい意向も固定せず、本人の希望と家族の負担の変化を繰り返し確認します。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 体調・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
本人が望む顔拭きや家族との時間を、その日の体調に合わせて支えます。苦痛や意向の変化は、訪問看護・主治医を含むチームへ共有します。


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