ショートステイの必要性を家族や支援者が感じていても、本人が「行きたくない」「家にいたい」と拒否することがあります。その背景には、環境が変わることへの不安、知らない人と過ごすことへの抵抗、過去の利用時の嫌な経験、自宅への強い愛着など、さまざまな理由が考えられます。
本人の拒否を単に「わがまま」「認知症だから」と捉えるのではなく、なぜ利用したくないのかを丁寧に確認することが重要です。ここでは、家族の介護負担軽減や在宅生活継続のためにショートステイが必要と考えられる一方、本人が利用を嫌がっているケースを想定し、居宅サービス計画書第1表・第2表の文例を紹介します。
この文例が参考になるケース
- 本人がショートステイ利用を拒否している
- 「家にいたい」という気持ちが強い
- 環境が変わることに不安を感じやすい
- 初めての場所や人に慣れるまで時間がかかる
- 過去のショートステイ利用で嫌な経験がある
- 認知症があり利用目的を理解しにくい
- 家族には休息が必要となっている
- 本人と家族の希望に違いがある
- 在宅生活継続のためにショートステイ利用を検討している
※文例はそのまま使用するのではなく、本人が利用を拒否する理由、認知機能、生活歴、性格、過去の利用経験、家族の介護負担、本人・家族それぞれの意向などに合わせて調整してください。
想定する利用者像
家族と自宅で生活している。認知症があり、日常生活には見守りや一部介助を必要としている。本人は自宅で過ごすことを好み、知らない場所へ行くことに強い不安を感じる。家族がショートステイの利用について説明すると、「泊まりには行かない」「家にいる」と拒否することが多い。
家族はできるだけ本人の希望を尊重したいと考えているが、夜間の見守りや日常的な介助が続き、疲労も蓄積している。在宅生活を長く継続するためには家族が休息する時間も必要であるため、本人が安心して利用できる方法を探しながら、段階的なショートステイ利用を検討している。
利用者及び家族の生活に対する意向
本人の意向
おすすめ文例
できるだけ自分の家で過ごしたい。知らない場所に泊まるのは不安なので、安心できるところだと分かってから利用したい。
別の表現
家を離れるのはあまり好きではない。もし利用するなら、自分のことを分かってくれる人がいて、落ち着いて過ごせるところがよい。
家族の意向
おすすめ文例
本人が嫌がることを無理にさせたいわけではないが、介護を続けるためには家族が休息する時間も必要である。本人が安心できる方法を探しながら、少しずつショートステイに慣れてほしい。
別の表現
本人の不安や気持ちは尊重したい。一方で、家族だけで介護を続けることにも限界を感じているため、本人が安心できる事業所や関わり方を見つけ、無理のない形で利用につなげたい。
居宅サービス計画書 第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
以上の利用者及び家族の意向を踏まえ、本人は住み慣れた自宅で生活を続けることを強く希望しており、環境が変わるショートステイ利用に対して不安や抵抗を示している。一方、家族は本人の意向を尊重しながら在宅介護を継続しているが、日常的な見守りや介助による疲労が蓄積しており、今後も在宅生活を継続するためには休息の機会を確保する必要がある。本人の利用拒否を一律に問題行動として捉えるのではなく、知らない場所への不安、生活リズムの変化、過去の利用経験、職員との関係等、拒否の背景を具体的に把握する必要がある。本人が安心できる環境や関わり方を整え、見学や短時間利用等も含めて段階的に慣れる機会を作りながら、本人の気持ちと家族の介護負担の双方に配慮した支援体制を整えることが課題である。
別の表現
以上の利用者及び家族の意向を踏まえ、本人には自宅を離れず生活したいという明確な希望があり、ショートステイに対して強い抵抗感を示している。家族は本人の希望を大切にしているが、介護を継続する中で心身の疲労がみられ、家族が休息を取る機会も必要となっている。本人が拒否する理由を確認し、単に利用を説得するのではなく、本人が安心できる人や環境、過ごし方を整えることが重要である。本人の生活歴や好み、日課、安心につながる声かけ等を事業所と共有し、本人が「行かされる」と感じないよう選択肢を示しながら利用方法を検討する必要がある。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が住み慣れた自宅での生活を継続できることを基本としながら、ショートステイ利用に対する不安や拒否の背景を丁寧に確認し、本人が安心して利用できる方法を検討する。利用を拒否した際には無理に説得したり強制したりせず、本人が何に不安を感じているのか、どのような環境や関わりであれば受け入れやすいのかを把握する。利用前には、本人の生活歴、日課、好み、苦手なこと、安心する声かけ、睡眠や排泄の習慣等を事業所と共有し、自宅での生活に近い環境を整える。必要に応じて見学、職員との事前面談、短時間の滞在等を活用し、本人が場所や職員に慣れる機会を設ける。利用中は集団活動への参加を強制せず、本人が落ち着いて過ごせる場所や一人で過ごす時間も確保する。本人が安心して過ごせた場面や関わり方を家族や関係職種と共有し、次回利用につなげる。家族については介護負担や疲労を継続的に確認し、ショートステイ利用が難しい時期には他サービスも組み合わせながら休息を確保する。本人の自己決定と家族の生活の双方を尊重し、無理のない形で在宅生活を継続できる支援体制を整える。
別の表現
ショートステイ利用そのものを目標にするのではなく、本人と家族が無理なく在宅生活を継続できることを目標として支援する。本人が利用を嫌がる場合には、本人の発言や表情、過去の経験から不安の原因を確認し、本人の意思を尊重する。本人が安心できる持ち物や日課を取り入れ、なじみのある職員や環境との関係を少しずつ作る。本人に説明する際には一度に多くの情報を伝えず、理解しやすい言葉でその日の予定を伝える等、認知機能にも配慮する。利用後は「嫌がった」「問題なく過ごした」といった評価だけで終わらせず、どの時間帯に不安が強かったか、何をしていると落ち着いていたか、どのような声かけが有効であったかを整理する。本人の受け入れ状況と家族の介護負担を確認しながら、利用頻度や利用方法を柔軟に調整する。
居宅サービス計画書 第2表の文例
ニーズ1
ニーズ
知らない場所でも、不安を感じすぎず安心して過ごしたい。
長期目標
本人が安心できる環境や関係が整い、必要時にショートステイを利用できる。
短期目標
本人が安心できる職員や過ごし方を一つ以上見つけることができる。
サービス内容
本人の生活歴や好み、不安になりやすい場面を共有し、安心できる声かけや環境を整える。無理な活動参加を求めず、本人のペースを尊重する。
ニーズ2
ニーズ
自分の気持ちを聞いてもらい、無理に決められずに生活したい。
長期目標
本人の意思や選択が尊重され、自分らしい生活を継続できる。
短期目標
利用や活動について本人の希望を確認し、自分で選択できる機会を持つことができる。
サービス内容
本人の意思を確認しながら支援を行い、利用や活動を一方的に決定しない。拒否がある場合には理由を確認し、支援方法を見直す。
ニーズ3
ニーズ
ショートステイでも、いつもの生活に近い形で落ち着いて過ごしたい。
長期目標
生活環境が変わっても本人の生活リズムを保ち、落ち着いて過ごすことができる。
短期目標
普段の起床、食事、排泄、就寝等の生活習慣をできる範囲で継続できる。
サービス内容
自宅での生活リズムや日課を事前に確認し、可能な範囲で同じ流れで過ごせるよう支援する。安心につながる持ち物等も活用する。
ニーズ4
ニーズ
家族にも無理をしすぎず、元気でいてほしい。
長期目標
家族が休息を確保し、心身の健康を維持しながら在宅介護を継続できる。
短期目標
本人が安心してショートステイを利用できる機会を作り、家族が介護から離れる時間を確保できる。
サービス内容
本人の受け入れ状況を確認しながらショートステイ利用を調整する。家族の疲労や介護負担を確認し、必要に応じて他サービスも組み合わせる。
第2表の完成イメージ
| ニーズ | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 知らない場所でも、不安を感じすぎず安心して過ごしたい。 | 本人が安心できる環境や関係が整い、必要時にショートステイを利用できる。 | 本人が安心できる職員や過ごし方を一つ以上見つけることができる。 | 生活歴や好み、不安になりやすい場面を共有し、安心できる声かけや環境を整える。 |
| 自分の気持ちを聞いてもらい、無理に決められずに生活したい。 | 本人の意思や選択が尊重され、自分らしい生活を継続できる。 | 利用や活動について本人の希望を確認し、自分で選択できる機会を持つことができる。 | 本人の意思を確認しながら支援し、拒否がある場合には理由を確認して支援方法を見直す。 |
| ショートステイでも、いつもの生活に近い形で落ち着いて過ごしたい。 | 生活環境が変わっても本人の生活リズムを保ち、落ち着いて過ごすことができる。 | 普段の起床、食事、排泄、就寝等の生活習慣をできる範囲で継続できる。 | 自宅での生活リズムや日課を確認し、可能な範囲で同じ流れで過ごせるよう支援する。 |
| 家族にも無理をしすぎず、元気でいてほしい。 | 家族が休息を確保し、心身の健康を維持しながら在宅介護を継続できる。 | 本人が安心してショートステイを利用できる機会を作り、家族が介護から離れる時間を確保できる。 | 本人の受け入れ状況を確認しながら利用を調整し、家族の疲労や介護負担も継続して確認する。 |
ケアプラン作成時のポイント
本人がショートステイを嫌がる場合には、「利用させること」をケアプランの目的にしないことが重要です。本人が何を嫌がっているのか、環境、人間関係、過去の経験、生活リズムの変化等を具体的に確認します。
また、本人の拒否と家族の介護負担はどちらか一方だけを優先するのではなく、双方の生活を考える必要があります。本人の意思を尊重しながら、家族も介護を抱え込まない方法をサービス担当者間で検討します。
文例を使うときのポイント
「拒否がある」とだけ記載するのではなく、どのタイミングで、どのような言葉や表情で拒否するのかを確認すると、本人の不安の原因が見えやすくなります。利用当日の拒否、宿泊への拒否、入浴等の個別場面への拒否では支援方法も異なります。
ショートステイ利用後には、本人が落ち着いていた時間帯や活動、職員の関わり方等を確認し、次回利用へつなげます。本人に合った方法を積み重ねることで、「知らない場所」から「知っている場所」へ変えていく視点が大切です。
まとめ
本人がショートステイを嫌がる場合には、拒否そのものを問題にするのではなく、その背景にある不安や本人の希望を理解することが重要です。
本人の生活歴や日課を事業所と共有し、安心できる環境や関係を少しずつ作りながら、家族の休息も確保することで、本人と家族双方が無理なく在宅生活を続けられるケアプランにつなげます。


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