移乗介助では、抱え上げを前提にせず、本人が使える立位・上肢・合図と、福祉用具・環境を組み合わせます。統一した手順で本人と介助者双方の安全を守ります。
本記事では、手すりで立位を数秒保てる一方、介助方法が変わると不安や腰痛を訴える方の移乗支援を扱います。本人の合図、専門職による方法の評価、介助者間の手順共有を第1表・第2表の文例で示します。
この記事が参考になるケース
- 70代男性。ベッドから車椅子への移乗時に手すりで立位を数秒保てる。介助者によって方法が異なると不安が強く、腰痛も訴える。
- 本人は「自分の合図で立ち、安心できる方法で車椅子へ移りたい。」と希望している。
- 家族は「抱え上げを避け、誰でも同じ安全な方法で介助してほしい。」と考えている。
サービスの利用可否・提供範囲・医療的支援は、保険者、事業所、主治医等へ確認します。
本人・家族の意向の文例
本人の意向
おすすめ文例
自分の合図で立ち、安心できる方法で車椅子へ移りたい。
家族の意向
おすすめ文例
抱え上げを避け、誰でも同じ安全な方法で介助してほしい。
第1表の文例
利用者及び家族の生活に対する意向を踏まえた課題分析の結果
おすすめ文例
70代男性。ベッドから車椅子への移乗時に手すりで立位を数秒保てる。介助者によって方法が異なると不安が強く、腰痛も訴える。
本人には「自分の合図で立ち、安心できる方法で車椅子へ移りたい。」という希望があり、現在行えていることと生活上の役割を生かす必要がある。
リハビリ職等と移乗方法・用具・介助人数を確認して共有する。訪問介護員は車椅子の位置・ブレーキ・足台・床面を確認し、本人の合図を待って、評価された手順で移乗を介助する。
総合的な援助の方針
おすすめ文例
本人が手すりで保てる立位と移乗開始の合図を生かし、訪問介護員がリハビリ職・福祉用具専門相談員と共有した車椅子位置・足部・介助手順を統一して、痛みと転倒を防ぎながら安心して移乗できるよう支援します。
別の表現|短めにまとめたい場合
本人の合図を待ち、専門職と確認した用具・環境・介助手順で移乗を支えます。痛みや不安が生じた場面を共有し、状態に合わなくなった方法を続けず再評価します。
第2表の文例
サービスを利用すること自体ではなく、本人が望む生活を続けられることを目標にします。
課題① 自分の合図と力を使い、安全に車椅子へ移りたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
自分の合図と力を使い、安全に車椅子へ移りたい。
長期目標
統一した方法と適切な用具で、安心してベッド・車椅子間を移乗できる。
短期目標
足の位置と手すりを確認し、自分のタイミングで立位の合図を出せる。
サービス内容
リハビリ職等と移乗方法・用具・介助人数を確認して共有する。訪問介護員は車椅子の位置・ブレーキ・足台・床面を確認し、本人の合図を待って、評価された手順で移乗を介助する。
課題② 痛みと転倒を防ぎたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
痛みと転倒を防ぎたい。
長期目標
移乗時の事故と身体負担を減らし、日中の離床を続けられる。
短期目標
痛み、ふらつき、不安を介助前に伝えられる。
サービス内容
体調と痛みを確認し、状態に合わない場合は無理に移乗しない。変化はリハビリ職・看護職等へ共有する。
課題③ 介助者が変わっても同じ方法で支援を受けたい。
生活全般の解決すべき課題(ニーズ)
介助者が変わっても同じ方法で支援を受けたい。
長期目標
本人・家族・全事業所で介助方法が統一され、安心して生活できる。
短期目標
移乗手順と注意点が写真や文章で共有される。
サービス内容
本人の同意のもと移乗手順を記録し、家族・訪問介護・通所等で共有する。用具と身体状況の変化時に再評価する。
第2表の完成イメージ
上の文例をつなげると、実際の第2表では次のような形になります。
※表は全体のつながりを確認するためのものです。文章をコピーするときは、上の各文例にあるコピーボタンを利用してください。
| 生活全般の解決すべき課題(ニーズ) | 長期目標 | 短期目標 | サービス内容 |
|---|---|---|---|
| 自分の合図と力を使い、安全に車椅子へ移りたい。 | 統一した方法と適切な用具で、安心してベッド・車椅子間を移乗できる。 | 足の位置と手すりを確認し、自分のタイミングで立位の合図を出せる。 | リハビリ職等と移乗方法・用具・介助人数を確認して共有する。訪問介護員は車椅子の位置・ブレーキ・足台・床面を確認し、本人の合図を待って、評価された手順で移乗を介助する。 |
| 痛みと転倒を防ぎたい。 | 移乗時の事故と身体負担を減らし、日中の離床を続けられる。 | 痛み、ふらつき、不安を介助前に伝えられる。 | 体調と痛みを確認し、状態に合わない場合は無理に移乗しない。変化はリハビリ職・看護職等へ共有する。 |
| 介助者が変わっても同じ方法で支援を受けたい。 | 本人・家族・全事業所で介助方法が統一され、安心して生活できる。 | 移乗手順と注意点が写真や文章で共有される。 | 本人の同意のもと移乗手順を記録し、家族・訪問介護・通所等で共有する。用具と身体状況の変化時に再評価する。 |
訪問介護のケアプラン作成ポイント
本人の生活目標から位置づける
サービス利用自体を目標にせず、本人が続けたい暮らし、役割、参加を確認します。
本人ができることを生かす
数秒立てることだけで、方向転換を含む移乗全体が安全に行えると判断しません。本人が合図を出せるか、どの工程で支えが必要か、痛みや不安が生じるかを専門職と確認します。手順の共有後も、介助者が変わった際に本人の反応と介助負担が変わらないかを評価します。
立位だけでなく移乗全体と介助負担を評価する
本人の合図、立位、車椅子位置、痛み・ふらつき、介助量、ヒヤリハット、手順の統一、介助者の負担を確認します。
文例を使うときのポイント
- 抱え上げや介助者ごとの自己流を避け、専門職が確認した用具・環境・介助手順を本人中心に統一します。
- 本人と家族の意向を分けて確認します。
- 体調・生活・サービス提供状況の変化に応じて見直します。
まとめ
移乗は本人の合図を待ち、専門職と確認した用具・手順で行います。痛みや不安が生じた場面を共有し、本人の状態に合う方法かを見直します。
移乗方法と福祉用具の検討は、厚生労働省「保健衛生業における腰痛の予防」も参考にし、本人の状態と介助環境に合わせて専門職と確認します。


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